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【06号 ダイジェスト】
成年後見によらない親なきあとという選択 ~遺言が守る家族の絆~
■福祉現場の視点と「成年後見制度」の乖離
行政書士の花村秋洋氏は、20年にわたる福祉現場での経験から、法律的に「最強の本人保護」とされる成年後見制度が、必ずしも当事者家族の幸せに直結していない現状を指摘します。
制度を利用すると、家族が後見人になれるとは限らず、弁護士等の第三者が選任される可能性があります。その結果、柔軟な財産使用が制限され、家族の生活スタイルが崩れるなど、多くの家族が制度の窮屈さに苦しむケースが後を絶ちません。特に「知的障害=成年後見人」という安易な結びつきが専門家の間でも常識化している現状に、花村氏は警鐘を鳴らします。
■最大の備えは「遺言」と「遺言執行者」の指定
親が亡くなった際、最も問題となるのが「相続」です。知的障害のある子に意思能力がないと判断されると、遺産分割協議書に署名ができず、相続手続きのために成年後見人をつけざるを得なくなります。
これを回避する唯一にして最大の対策が、親による「遺言書」の作成です。
遺言の中で、障害のない兄弟などを「遺言執行者」に指定しておくことで、障害のある子の署名や捺印が不要となり、成年後見人をつけずに相続手続きを完了させることが可能になります。これにより、家族だけで財産を管理し、本人や家族のために柔軟に使うことができるようになります。
■お金の残し方と家族信託
親心として障害のある子の口座に多額の貯金をしがちですが、本人が引き出せない以上、口座凍結のリスクを高め、結果として後見人が必要になる原因となります。「障害のある子名義でお金を貯め込まず、親や兄弟が管理する」ことが新しい常識です。
また、「家族信託」は一人っ子の場合などには有効ですが、信頼できる兄弟がいる場合は、遺言で兄弟に財産を託し「障害のある子のために使ってほしい」と頼む形でも十分機能します。複雑な制度でガチガチに固めるよりも、家族間の信頼関係をベースにすることが、多くの場合において平穏な生活につながります。
■制度よりも「家族の幸せ」を優先するために
重度の障害がある当事者の「心の声」を代弁するならば、「自分の財産を守るために家族が苦しむこと」は望んでいないはずです。法律通りの厳格な財産管理よりも、家族が笑顔で暮らせることを望んでいるのではないでしょうか。
成年後見制度はあくまで「任意」の制度です。強制的に利用させられる前に、まずは「遺言」を準備すること。そして、「親なきあと」をどう支え合うか、兄弟を含めた家族全員で話し合うことから始めることが何よりも重要です。
編集者
紙版はこのようになっています


テーマ『成年後見によらない親なきあとという選択』フロイデ06号全編

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編集者のストーリー
この「障害のない情報誌 フロイデ!」名古屋市会議員塚本つよしが民間企業での10年余りの経験を活かして設立した、ぎじたび小槌株式会社が製作しています。情報にあふれた社会になり、さまざまなデバイスも世の中に普及し、誰もがどこからでも情報にアクセスすることのできる社会となりました。
しかし、その恩恵を享受できる人は、デバイスを使いこなしネット検索することのできる技量をもち、物理的にも時間的にもそれを可能とする人たちです。また、ネット検索できる情報は、多くの人が検索する情報の表示に偏るため、障害にかかわる情報等マイノリティの求める情報は表示されづらい特徴もあります。
その社会的な問題を解決するために、「フロイデ!」は、無料の情報誌を紙媒体・Web媒体の両方において、また紙媒体については郵送するアウトリーチ手法によって、情報をお届けする選択をとり、2021年に創刊しました。この郵送や印刷等の費用は、企業スポンサーの皆様によって支えられています。
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編集者 塚本つよし
